Malaysia
M&A (M & A practice)
:: Question ::
M&Aの手法はどのようなものが一般的ですか?
:: Answer ::

■買収の手法と手続きおよび内容
マレーシアにおけるM&A取引としては、以下のような方法が考えられます。

■株式取得における規制
[ 強制的公開買付(買収ルール4 条)]
SCから承認を得た場合を除き、以下の場合は買付者に強制的公開買付が義務付けられます。

- 買付側が支配権を獲得した場合
33%を超える会社の議決権付株式を取得した場合、支配権を獲得したものと認識されます。

- 買付によってCreeping threshold となった場合(Creeping threshold の引き金となった場合)
Creeping thresholdとは、すでに33%超55%以下の議決権付株式を取得している状態で、6ヶ月の間に2%超の議決権付株式を追加で取得することを言います。

- 新株式の発行により希釈化された場合
議決権付株式が新株式の発行により希釈化された際に、次のいずれかの条件を満たす場合、議決権付株式を保有する株主には強制的公開買付を義務付けられます。

- 株式保有が33%以下に減少した後、新たに追加で購入し、保有率が33%を超えた場合
株式保有が33%以上50%以下まで減少した後、6ヶ月の間に2%超の株式を取得した場合(Creeping thresholdとなった場合)
また、次の状況において強制的公開買付が義務付けられる場合があります。

- Upstream entity を通じて買収する場合
次のいずれかの状況にある場合、Upstream entityが間接的ないし直接的に支配しているDownstream entity、もしくはUpstream entityないしUpstream entityの関係会社における議決権の集約によって支配権を確保されているDownstream entityのいずれかを支配しているUpstream entityの株式50%超を取得する買付者に対して強制的公開買付が起きる可能性があります。

- Downstream entityがUpstream entityと重要な関係にある場合
(Downstream entityの資産、純資産、純固定資産、そして売上の50%以上が、Upstream entityによって構成されている場合)
Downstream entityの支配権を持つことが、Upstream entityの法的な支配権を取得のための重要な目的であると合理的にみなされる場合
※U p s t r e a m e n t i t yとは、買収コードおよび買収ルールの適用外である会社、Downstream entityとは、買収コードおよび買収ルールが適用される会社を指す  

 

[ 任意的公開買付]
買収コードにおいて、任意的公開買付とは、強制的公開買付以外の公開買付と定義されています。任意的公開買付は、上述の強制的公開買付の条件が適用されない場合においても、買付者が対象会社の発行済株式を100%取得するために用いられます。


[ 部分的公開買付(買収ルール5 条)]
任意公開買付のうち、対象会社の発行済株式の1 0 0%未満を取得する場合を部分的公開買付と言います。SCの事前の承認を得ない限
り、部分的買付はできません。通常、部分的公開買付によって保有される議決権が3 3%を超えない場合であれば、承認を得ることができます。

[ 公開買付規制]
公開買付規制とは、主に上場会社の株式取得に際して、CMSAや買収コードに従い、買付の価格、数量、期間を公表した上で株式の買付を行うことを義務付けるものであり、特定株主の優遇や不透明な取引を防ぎ、取引の公平性を維持するための規制です。

 

■公開買付の手続
 公開買付は取得する株式の数量、価格、期間などを事前に公表してから株式を取得します。公開買付の手続は買収コードにより規定されており、さまざまな手順を踏む必要があります。

公開買付の公表日に買付者は、対象会社の取締役会、SCおよび、対象会社の有価証券がマレーシア証券取引所に上場している場合には同証券取引所に対しての通知と、主要紙での告知を行います。対象会社の取締役会は、通知から1時間以内に書面により公表を行い、対象会社の有価証券が同証券取引所に上場している場合には同証券取引所に対して通知を行います。買付者は、4日以内に公開買付公示文書をSCに提出し、SCの承認を取得します。その後SCの承認を受けた公開買付公示文書を、2 1日以内に対象会社の取締役会および株主に送付します(Dispatch Date)。対象会社はDispatch Dateから10日以内に、公開買付に対する取締役会のコメント・情報、および独立アドバイザーによる報告書を、対象会社の株主に提供します。以下の図にように、公開買付の期間はDispatch Date後21日目から60日目までとされています。なお、任意的公開買付開始後に条件を追加、または撤回をする場合、SCによる承諾が必要とされています。

[ 第三者割当による買収]
マレーシアにおいては、発行済株式の取得に加え、第三者割当増資で発行した新規株式の取得による買収も可能です。新株株式を発行するにあたり、株主総会の普通決議が必要となります。

[ 株式譲渡]
マレーシアにおいて株式譲渡は代表的なM&A手法です。上述の公開買付に当てはまらない場合に適用され、その方法や手続は主に会社法や関連法により規定されています。

[ 株式売渡請求]
株式売渡請求権(資本市場・サービス法222条)により、買付者は、少数株主が保有している株式の売渡請求をすることができます。
この制度は、買付者が公開買付の実施後4ヶ月以内に、9 0%以上の株主により株式買付の承認を得ていた場合において、それから2ヶ月以内に、買付に応じない少数株主に対して通知をすることが適用要件となります。少数の反対株主の株式を強制的に取得することにより、買付者は対象会社の株式の100%を取得することが可能となります。
なお、株式売渡請求権を行使する場合、買付者は、原則としてすでに取得した株式と同様の条件(価格を含む)で、反対株主の株式を取得しなければなりません。一方、反対株主は売渡請求に対し、裁判所において異議を申立てることができ、請求権行使の可否は裁判所が判断します。

[ スキーム・オブ・アレンジメント]
スキーム・オブ・アレンジメントとは、対象会社の株主総会による承認や裁判所の認可など、一定の条件を満たした場合に、買収者が対象会社の株式を取得できる制度です。日本法にはない制度ですが、英国法の影響を受けたマレーシアやシンガポールなど多くのアジア諸国で、同様の制度が見られます。ほかの買収方法と異なり、対象会社が主導権を有し、株式譲渡に限らず株式消却や企業分割等、具体的な内容を柔軟に定めることができます。会社の資本再編や債権者・出資者との利害調整、グループ会社の合併または再編など、さまざまな目的および用途に用いられる組織再編の手法であり、会社法により規制されています。
スキーム・オブ・アレンジメントにより、対象会社の株式を100%取得し、完全子会社とすることが可能です。流れは以下のとおりです。

Creater : Yuji Abiko