概要
2026年3月24日、インド財務省・中央間接税関税委員会(CBIC)は「Customs (Electronic Cash Ledger) (Amendment) Regulations, 2026」を官報に掲載しました。通知 No.30/2026-Customs (N.T.) により、税関電子キャッシュレジャー(ECL)への入金方法に決済代行業者(Payment Aggregator)を追加し、クレジットカード・デビットカード・統合決済インタフェース(UPI)を利用した納付が可能になりました。これを受け、同日付の通達 No.13/2026(Circular No.13/2026-Customs)がICEGATE(インド税関電子データ交換ゲートウェイ)での運用開始を発表し、インターネットバンキング対応銀行を23行から41行へ拡大するとともに、決済代行経由での支払に係る手数料は利用者負担にすると定めました。
ポイント
・規制改正の内容
条文では、ECL規則2022の第3条6項に「決済代行業者による入金」を追加し、同7項で「認可銀行のインターネットバンキングまたは決済代行業者」を明記しました。施行日は官報掲載日(2026年3月24日)当日です。
銀行手数料は支払者負担とし、導入当初はICICI銀行、インディアンオーバーシーズ銀行、SBI、HDFC銀行が対応し、順次拡大予定です。
・政策の目的と効果
CBICは近年、税関手続きの簡素化とオンライン化を推進しており、ECLは2023年4月に導入され、2024年3月には国際宅配便向けにも拡大されました。今回の支払方法拡充は、輸入者がインド全土で普及するUPIやカード決済を使って税関税を支払えるようにし、現行のインターネットバンキングやNEFT/RTGSと併用することで利便性を高めることが狙いです。
UPI・カード決済やより多くの銀行を利用可能にしたことで中小企業も関税を容易に支払えるようになり、通関手続きの負担軽減と資金管理の透明性向上につながると期待されています。限定された銀行に依存せず、取引ごとに即時決済できるため、時間に敏感な輸入者にとって実利が大きいといえます。
・日系企業への実務的影響
支払手続きの効率化:従来、ECLへの入金は指定銀行のインターネットバンキングやNEFT/RTGSに限られており、ネットバンキング非対応の銀行を利用する日系企業や通関業者は不便を強いられていました。今回の改正により、UPIやカード決済で迅速に入金できるため、通関用資金の準備が柔軟になります。
会計処理と管理負担の軽減:ECLに入金した資金は税金支払い前の預け金として扱われ、残高管理が必要です。これまで銀行振込後に残高反映まで時間がかかり、通関スケジュールに影響していましたが、決済代行経由では即時にECLへ反映されるため、在庫滞留リスクが低減します。また、ICEGATEで取引履歴を取得できるため、輸出入通関業務の内部統制や会計監査にも活用できます。
コスト試算が必要:通達は、決済代行利用に伴う手数料は支払者負担と明記しています。UPIは手数料が少ないですが、クレジットカードや一部銀行経由では手数料が数%かかる可能性があります。輸入額が大きい企業は、従来の銀行振込との比較や、支払チャネル別コスト管理を検討する必要があります。
・税関職員・業者への周知
通達は、各税関に対し取引主体への周知徹底を求めるとともに、ICEGATE上で利用手順書を公開しています。日系企業は通関業務を委託するCHA(通関業者)と協働し、ECLへの入金に関する社内フローを見直すことが重要です。
まとめ
税関電子キャッシュレジャーは、税関に預けた資金から関税やGSTを充当するデジタル口座であり、従来は限定された銀行のネットバンキングまたはNEFT/RTGSを通じて入金する必要がありました。2026年3月24日発表の規則改正と同日の通達により、UPI・クレジットカード・デビットカードを使った支払が認められ、決済代行業者経由で41行の銀行に対応するなど、選択肢が大幅に広がりました。このデジタル化は通関のスピードと透明性を高め、中小企業を含む輸入者の資金繰りを改善すると期待されます。日系企業にとっては、ECL入金を「仮払税金」等として管理しつつ、UPIなどの新しい支払チャネルを活用することで関税支払いの効率化が図れます。ただし、決済手数料や内部統制への影響を踏まえた運用ルールの整備が不可欠です。
本日は以上になります。
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