Turkey
Economic (Economic Environment)
:: Question ::
経済環境(GDPの推移、インフレ率の推移、貿易収支等)の状況について教えて下さい、
:: Answer ::
■GDPと経済成長率の推移  民間部門、金融部門、社会保障システムといったマクロ経済基盤の構造改革が進み、高い成長率が維持され、2000年から2010年代前半までは安定したGDP成長を記録していました。しかし、近年では政治的不安に加えCOVIT-19の影響により経済的に不安定な状態が続いているため、2019年度の1人当たりのGDP 9,127USドルに比べ2020年度の1人当たりのGDPは8,599USドルへと減少傾向にあります。  2009年には世界金融危機の影響を受けてマイナス成長となりましたが、2010年には9.01%という高成長率を取り戻し、2011年も好調を持続しました。2012年はトルコ政府が経常収支の健全化のために金融引き締めに転じたことから、2.2%と低い成長率にとどまりましたが、2013年には金融緩和に再び転じ内需が喚起され4.13%まで回復しました。しかし、2014年には再び2.91、2015年は3.04(2015年10月時点の推定数値)と落ち込みました。2016年には、クーデター未遂事件や観光業の不振を経験し2.9%の低成長率を記録した一方、翌2017年には政府による景気喚起策が民間消費の拡大を促したことや好調であった自動車産業の輸出が市場に活力を与え、7.4%の成長を達成しました。転じて2018年は、対米関係の悪化により発生した通貨危機「トルコショック」の影響によりトルコ ・リラが急落、インフレ率の上昇により経済活動が減速し2.6%のマイナス成長と落ち込みがみられました。しかしトルコショックへの回復は早く、特に金融・保険業の成長率が高まったおかげで2019年の経済成長率は0.9%のプラスという結果になっています。そして2020年はCOVID-19の影響にもかかわらず、1.8%もの成長率を記録しました。今回は工業部門が成長率引き揚げに大きく寄与していますが、一方で前年成長率を牽引した金融・保険業は減少傾向に転じ、建設業においては大幅なマイナスの結果になりました。  トルコ経済は新興市場との取引も拡大していますが、欧州への比重がやはり大きくなっています。近年では、EU諸国のみならずアメリカやロシアとの関係が同国経済に非常に大きな影響を与えています。  政府は現在、建国100周年を迎える2023年に向けて新たな経済目標「Vison2023」を掲げ、意欲的な経済政策を行っています。周辺国との外交関係も含め、今後の動向が注目されるところです。 ■インフレ率 トルコは1970年代、80年代には天文学的なハイパーインフレに悩まされたことが何度もあり、90年代に入っても数十パーセント台のインフレを続けてきました。しかし、21世紀に入りトルコ通貨危機を契機としたIMFによる支援と、通貨の切り替えなど、さまざまなインフレ対応策を実施してきたことが奏功し、2004年から2017年まではほぼ一桁台のインフレ率に収まってました。  しかし2018年8月、対米関係の悪化により引き起こされた「トルコショック」の影響により、トルコ・リラが急落、輸入物価が高騰し同年10月のインフレ率は25%にまで上昇しました。その後、政府による減税措置や原油相場の下落によって多少改善が見られましたが、2019年度には、中央銀行総裁の解任や金融緩和政策による政策金利の大幅引き下げ等により一時インフレ率が小さく転じたにもかかわらず再び上昇傾向に転じました。2020年はCOVIT-19の影響を受けて経済全体が鈍化していましたが、政府の様々な対応策のおかげで2019年のインフレ率12.4%に比べ11.9%とインフレ率の上昇を抑えることに成功しました。また、2021年末から2022年にかけて政府発表のインフレ率は約36%とされていますが、実態としては約80%以上のインフレ率とされています。 トルコは1980年代に貿易を自由化し、規制緩和を進めたため、輸出入額ともに大きく伸びました。高度経済成長に支えられて輸入額が目覚しく伸び、現在でも輸入超過国となっています。輸入額は2018年時点で2,230億USドルとなっており、21世紀に入ってからも約5.3倍に増加しています。80年代から輸出主導型成長への転換を図った結果、輸出額も大幅に増加しました。2014年に1,570憶USドルを突破した後、15年から16年にはEUの経済停滞やクーデター未遂事件等の影響によりやや減少したものの、2018年時点で1,670億USドルにまで上昇し、前年度から7%の増加を記録しています。 ■輸出、輸入(国別、品目別)  2018年の輸出額を国別に見てみると、トップがドイツ9.6%、次いでイギリス6.6%、イタリア5.7%、イラク5.0%、アメリカ4.6%、以下、スペイン、フランス、イスラエル、ロシアとなっています。  従来、トルコの貿易は欧州との取引額が非常に多く、特に輸出においては顕著でした。トルコは、EU(欧州連合)と地域経済統合の一種である関税同盟を締結に加盟(1996年)しているため、EUへの輸出の際に関税はかかりません。一方で、トルコはEUには加盟していないため、フリーゾーンに生産拠点を置くことができるという利点があり、EUとの貿易を拡大してきました。21世紀初頭には輸出額の6割近くがEU各国向けで、その他の欧州諸国やロシアを含めると7割近くを占めていました。しかし、トルコの全方位外交と貿易の多角化戦略が功を奏して、イラク、イラン、UAE、エジプトなどの中近東やアフリカ、アジア向け輸出も伸びていきました。2018年現在においては、欧州債務危機の後、一度は減少したEU向け輸出が再び増加したことで、前年度比13.6%を記録し、実に全体の50%を占めています。一方、中近東向け輸出は前年度比16.6%減の17.5%と大きく減少しています。  輸入は、ロシアが最も多く9.9%となっています。次いで中国9.3%、ドイツ9.1%、アメリカ5.5%、イタリア4.6 %、インド3.4%、以下、イギリス、フランス、イラン、韓国と続きます。輸入もやはり欧州が多いとはいえ、21世紀初頭には5割を超えていたことからすると、相対的に比率は下がっており、やはり輸入元も多様化しています。
Creater : Yumi Miura