Turkey
Economic (Economic Environment)
:: Question ::
産業構造の産業別の動向について教えて下さい。
:: Answer ::
実質GDP(2017年)に占める産業部門別の割合を見てみると、サービス業は最も大きく60.2%、次いで製造業・建設業が32.9%、農林水産業が6.9%となっており、サービス部門が中心となっていることがわかります。  トルコは中近東や北アフリカなどでは類を見ないほど製造業が発達した国です。製造業部門は、自動車、家電、繊維、食品が中心で、コチ、サバンジュ、ドウシュ、ドアンの4大財閥をはじめとする財閥が製造業において大きな役割を担っています。 産業構造は、まず軽工業を中心に発達を遂げたため、かつては繊維・衣料品、食品加工部門が基幹産業でした。しかし、近年は自動車や家電部門の成長が著しく、労働集約型から技術集約型への移行が進んでいます。  工業化が進んでいるのは、主にイスタンブールがあるトルコ北西部のマルマラ海沿岸地域や西部アナトリアで、東部アナトリアや黒海沿岸地域では工業化が進んだ地域が少ないのが現状です。多くの発展途上国に見られるように、トルコでも急速に発達を遂げる都市部と、取り残された農村部との格差が社会問題化しつつあります。 ■自動車産業  自動車産業はトルコ最大の産業で、自動車生産台数は世界第14位、欧州第5位(2017年実績)となっています。又、トルコは欧州最大のバスの生産国であり、軽商用車(LCV)においては欧州第2位(2018年実績)の生産国です。  トルコの自動車産業は、世界の大手自動車メーカーと国内の大手財閥との合弁事業によって急拡大しています。2007年に生産台数が100万台を突破し、世界金融危機の影響で2009年には落ち込んだものの、2010年にはV字回復し、2011年には約119万台の生産を記録しました。その後、2014年までは110万台前後をキープしながらも微増に留まっていましたが、2015年から大幅に生産台数を伸ばし、2017年には約167万台となり、輸出、国内販売ともに過去最高を記録しました。しかしながら、翌2018年は通貨危機トルコショックの影響もあり、国内販売の冷え込みによって約155万台に減少しています。  トルコの自動車販売業社協会(ODD)の発表によると、2018年のトルコショックによる販売価格の上昇と金融引き締めに伴う自動車ローンの金利上昇は販売台数にも非常に大きな影響を与え、2018年の販売台数は実に前年比35%減となる約62万台にまで減少しています。今後は、トルコ当局の経済政策も含め動向が大いに注目されるところです。  トルコにおける自動車産業の利点としては、西欧の先進国に比べて生産コストが安いこと、他の中近東や北アフリカ諸国には見られない条件として、多くの部品を調達する必要がある自動車産業に必須である裾野の広い製造業がバランスよく発達していることなどが挙げられます。また、トルコは東欧やロシア・CIS、中近東などの新興市場に近いという地理的条件下にあり、かつ良好な関係が結ばれています。  EUの生産拠点としてトルコの自動車産業は、新興市場への拠点としての重要性を増しています。2019年10月には、独大手のフォルクスワーゲン(VW)がイズミール近郊のマニサ県に法人を設立し、新工場の建設を行うことを発表しました。VWは2020年の工場建設開始、2022年の生産開始を目標としており、同工場では年間30万台の自動車生産が見込まれています。(*2019年12月現在、トルコによるシリア北部での軍事作戦「平和の泉作戦」による政治的混乱に伴い、工場の建設は延期が発表されています。) EUの経済停滞や、隣国シリア情勢に代表される、「アラブの春」以降の中近東情勢など、不安定要素を抱えている自動車産業ではありますが、今後の状況次第では更なる発展が期待される産業の1つです。 ■繊維・衣料品  トルコは伝統的に繊維産業が盛んな国であり、繊維製品は輸出の主要品目となっています。繊維産業は国内最大の雇用創出部門でもあり、国内には5万社以上の繊維関連企業があります。  トルコの繊維産業の強みとして、原料生産から縫製までを一貫して行うことができる産業構造の厚み、欧州に近く最大の繊維製品輸出国である中国より納期を短くすることができ、かつEUとの関税同盟により関税が撤廃されていること、海外ブランドが求める高い品質に対応できる生産能力などが挙げられます。  一方で、2005年にWTO(世界貿易機関)によって繊維製品の輸入割当制度が撤廃されて以降、EU市場においては中国との価格競争が激化し、ロシアをはじめ新しい市場の開拓や生産拠点の移動など新たな展開を迫られています。加えて、自国製品の高付加価値化・高価格化も今後の目標の1つとして掲げています。 ■農業  トルコは古くからの農業国であり、農業人口が国民のおよそ2割5分を占めます。国土面積は日本の約2倍であり、うち半分が農用地面積として利用されています。地理的な観点から見ても、内陸部はステップ気候、地中海・エーゲ海地域は地中海性気候、黒海地域は海洋性気候と、地域ごとに気候が大きく異なることが、農業生産にも多様性をもたらしています。地中海・エーゲ海地域では果物や野菜、黒海沿岸ではナッツ類、中央アナトリア地方においては小麦などの穀物類、南東部では綿花の栽培が盛んに行われています。東部アナトリアでは農業に依存する地域が多く、古くからの地主制度がいまだに残っている地域もあります。   主要農産物としては、小麦やてん菜、トマト、大豆、トウモロコシやブドウ、スイカ等が挙げられ、多岐にわたる農業生産品がトルコ国内で生産されています2018年時点において、ヘーゼルナッツ、さくらんぼ、イチジク、杏子・梅類の生産量は世界1位、メロンの生産量は2位です。スイカの生産量は世界3位となっています。 かつて農業はトルコを代表する基幹産業でしたが、現在では製造業の伸びとは対照的に経済的な位置付けは相対的に低下しています。
Creater : Yumi Miura