昨今、クロスボーダーのM&Aの件数がASEAN地区を中心に増加していますが、シンガポールにはM&Aを行う企業に嬉しい税務優遇制度があります。今回は、税務メリットがあります。今回はその中から、M&A控除(M&A Allowance)について解説します。
[M&A 控除]
M&A控除とは、2010年4月1日~2025年3月31日の間、条件を満たすM&A取引は、4千万SGDを上限とした買収価格の25%を5年にわたって償却することができるというものです。控除可能額は各年1千万SGDが上限となっています。
M&Aスキームの対象となる要件には以下のようなものがあります。
[ターゲット企業における株式保有率]
仮に買収前に、買収企業が保有しているターゲット企業の普通株式保有率が20%未満の場合、買収後に20%を超える必要があります。また、買収前に普通株式保有率が20%を超え、51%未満である場合、買収後には51%以上となる必要があります。
A)買収企業
①買収企業はシンガポールで設立され、税務住民(Tax Resident) である必要があります。企業の事業の支配と管理がシンガポールで実施されていれば税務住民となります。一般的に、外国企業のシンガポール支社は、支配と管理が海外の親会社に帰属するため、シンガポール税務住民として扱われません。
②買収企業がグループ企業に所属する場合、その究極持株会社(Ultimate Holding Company)もまた、シンガポールで設立され、税務住民である必要があります。
③買収日に、シンガポールで事業を行っている必要があります。
④最低3名のローカル社員(取締役を除く)を買収日から遡って12カ月間雇用している必要があります。また、買収日から遡って2年間はターゲット企業との関連がない必要があります。
B)買収企業の子会社
2012年2月17日~2025年12月31日の間に完了するM&A取引であれば、その子会社が買収企業によって間接的に保有されていてもM&Aスキームの対象となる要件を満たす可能性があります。次の
①~③の要件を満たすことに加えて、その子会社は、他の会社株式を保有する目的で設立されていなければなりません。
①買収企業の子会社は、M&AスキームにおけるM&A控除を受けてはいけません。
②買収企業の子会社は、買収日において、シンガポールまたはその他の場所で事業を行ってはいけません。
③買収日において、買収企業によって直接的または完全に保有されている必要があります。
C)ターゲット企業
①買収日において、シンガポールまたはその他の国で事業を行っている必要があります。
②最低3名のローカル社員(取締役を除く)を買収日から遡って、12カ月間雇用している必要があります。
上記の要件は、ターゲット企業が直接的または完全に保有する子会社によって満たされる可能性があります。また、2012年2月17日~
2025年12 月31 日の間に完了するM&A取引であれば、ターゲット企業が間接的に保有する子会社によっても満たされる可能性があります。
以上お伝えします。M&Aや、税務のご相談もお待ちしております。